初めてのファクタリング申込み – 作業着で面談に行って失敗した話
「ファクタリング?なんかカタカナで難しそう…」
正直なところ、銀行の担当者さんから初めてその言葉を聞いた時、頭の中はハテナでいっぱいでした。
こんにちは!
千葉県船橋市で、父から継いだ建設会社を経営している佐藤美咲です。
現場で職人さんたちと汗を流し、事務所に戻れば娘の宿題を見て、母の作るおにぎりを頬張る毎日。
そんな私が、会社の資金繰りのために「ファクタリング」という未知の世界に飛び込むことになったんです。
これは、建設業界で働く一人の女性経営者が、慣れない資金調達に体当たりで挑んだ、等身大の体験記。
特に、私と同じように「今さら聞けない…」なんて思っている経営者さんの参考になれば嬉しいです。
目次
ファクタリングって何?私が知ったきっかけ
銀行の担当者の一言から始まった
きっかけは、ある夏の日のことでした。
ありがたいことに大型リフォームの仕事が決まったんですが、その分、先に支払う材料費も大きくて…。
「うーん、支払いがちょっと厳しいかも…」なんて頭を抱えていたんです。
そんな時、いつもお世話になっている銀行の担当者さんがポロッと。
「佐藤さん、最近はファクタリングっていう資金調達の方法もありますよ」
ファクタリング…?
横文字が苦手な私には、もう呪文のように聞こえましたね(笑)。
最初は「借金と何が違うの?」と思った
家に帰って、元経理担当の母に「ファクタリングって知ってる?」と聞いても、「さあ、聞いたことないわねぇ」と首をかしげるばかり。
自分なりに調べてみても、なんだか難しい言葉ばかりで…。
「債権を売買する…?」
「借金じゃない…?」
最初は、借金と何が違うのか、さっぱり分かりませんでした。
でも、一番の大きな違いは「返済義務がない」ことなんですよね。
銀行からお金を借りる「融資」は借金ですけど、ファクタリングはうちの会社が持っている「請求書(売掛債権)」を買い取ってもらうサービスなんです。
つまり、取引先から入金される予定のお金を、前倒しで手に入れるイメージ。
これなら、会社の負債が増えるわけじゃないんだって分かって、少し安心しました。
ネット検索では分からなかった“現場視点の情報”
ただ、ネットでいくら調べても、なんだかピンとこなかったんです。
専門家が書いた難しい解説か、IT企業の社長さんの事例だったりして。
「私たちみたいな建設業で、急な材料費の支払いに困ってる…みたいな、もっと現場に近い話はないのかしら?」
「同じ女性経営者の人って、どうしてるんだろう?」
そんな情報が、どこにも見つからなかったんですよね。
だから、「よし、それなら私が挑戦して、その記録を残そう!」と決心したんです。
初めてのファクタリング申込み:準備から面談まで
電話での申込み:専門用語にドキドキ
まずは、ネットで見つけたファクタリング会社に電話するところからスタート。
もう、心臓はバクバクでした。
「あの、ファクタリングの件でお電話したんですが…」
そう言うのが精一杯。
相手の方は丁寧だったんですけど、「御社の売掛債権ですが…」「審査に必要なエビデンスは…」なんて言われて、また頭にハテナが(笑)。
そのたびに「すみません、それってどういう意味ですか?」って聞き返して、現場用の小さなノートに必死でメモを取りました。
持参書類の確認:何が必要か分かりづらい
電話で教えてもらった必要書類が、また大変だったんです。
- 会社の登記簿謄本
- 私の印鑑証明書
- 決算書(2期分)
- 取引先との契約書や請求書
- 入金が確認できる通帳のコピー
聞き慣れない書類もあって、「これってどこで取るの?」状態からのスタート。
特に、取引先との基本的な契約書なんて、どこにしまったか分からなくなってしまって…。
母と一緒に書類を見直して徹夜(あるある)
その日の夜は、母と一緒に事務所で書類の山と格闘です。
「美咲、この請求書、日付が古いわよ」
「お母さん、こっちの契約書は印鑑がかすれてる…」
親子二代、ああでもないこうでもないと書類を探し回って、気づけば窓の外が明るくなり始めていました。
娘に「お母さん、頑張って」って言われた手前、弱音は吐けません。
「これも経営者の仕事だよね」なんて言いながら、なんとか書類を揃えました。
面談当日の大失敗:作業着で行ってしまった私
いつも通りが裏目に出た?建設業の“常識”とのギャップ
そして、いよいよ面談当日。
私は朝から現場を回って、その足でファクタリング会社のオフィスに向かいました。
もちろん、服装はいつもの作業着です。
だって、それが私にとっての仕事着、いわば正装ですから。
でも、その考えが甘かったんですよね…。
ピカピカのオフィスビルに入った瞬間、「あれ?私、場違いかも…」と焦り始めました。
担当者の表情とひと言「もう少しフォーマルな服装で…」
担当してくれたのは、パリッとしたスーツを着こなした若い男性。
私が作業着なのを見て、一瞬、本当に一瞬だけ、彼の表情が固まったのを私は見逃しませんでした。
そして、名刺交換もそこそこに、やんわりとこう言われたんです。
「佐藤様、もし次回がございましたら、もう少しフォーマルな服装でお越しいただけると…」
もう、顔から火が出るかと思いました。
穴があったら入りたいって、こういう気持ちなんですね。
「恥ずかしかったけど、いい経験になりました!」
正直、すごく恥ずかしかったです。
でも、同時にハッとしたんです。
「そっか、私は“佐藤建設の代表”として来てるんだ」って。
現場では作業着が信頼の証でも、こういう場所では、きちんとした服装が相手への敬意であり、会社の信頼につながるんだなと。
現場で鍛えられた私でも、まだまだ知らないことばかり。
「勉強になりました!」と頭を下げたら、なんだか少しスッキリしました。
面談で戸惑ったこと・学んだこと
「債権譲渡」ってなに?→手帳に書いた私なりの解釈
面談では、また新しい言葉が出てきました。
「債権譲渡契約(さいけんじょうとけいやく)」です。
「債権を、譲渡…?借金を譲るってこと?」
また勘違いしそうになった私に、担当者さんは丁寧に説明してくれました。
要するに、「取引先からお金をもらう権利(=債権)を、ファクタリング会社に譲りますよ」っていう契約のことなんですね。
私は自分のノートに、こうメモしました。
「請求書を売ること!」
うん、これなら分かる!
手数料の計算で3回やり直した話
次に戸惑ったのが、手数料の計算。
提示された手数料は、決して安くはありませんでした。
「えーっと、100万円の請求書で、手数料が10%だから…」
電卓を叩きながら、頭の中はごちゃごちゃ。
焦れば焦るほど、指が滑って3回も計算をやり直してしまいました。
手数料は、売掛先の信用力や、入金までの期間で変わるそうです。
これも、会社の状況に合わせてしっかり見極めないといけないポイントなんだと学びました。
「女性経営者って珍しいですね」と言われた時の気持ち
面談の最後に、担当者さんから「建設業界で女性経営者って、珍しいですよね」と言われました。
悪気がないのは分かっているんです。
でも、心のどこかで「女性だからって甘く見られたくない」と思ってしまう自分がいました。
父から会社を継いだ時も、取引先から「お嬢ちゃんに何ができるんだ」なんて言われたこともあります。
だからこそ、「しっかりしなきゃ」って、自然と背筋が伸びましたね。
娘に胸を張れる経営をするためにも、ここで頑張らないと。
ファクタリング利用のメリットと注意点(初心者目線で)
実際に使ってみて感じた「安心感」
色々ありましたが、無事に契約できて、数日後には口座にお金が振り込まれていました。
その時の安心感といったら…!
- メリット
- とにかく入金が早い!
- 銀行融資と違って、手続きがシンプル。
- 借金じゃないから、決算書の見栄えが悪くならない。
おかげで、材料費の支払いも無事に済ませることができ、職人さんたちにも迷惑をかけずに済みました。
手元に現金があるという安心感は、何物にも代えがたいですね。
手数料の“納得ライン”ってどこ?
ただ、やっぱり気になるのは手数料です。
今回は緊急だったのでお願いしましたが、毎回この手数料だと正直厳しいな、というのが本音。
項目 | メリット | 注意点(私のメモ) |
---|---|---|
スピード | 銀行融資より圧倒的に早い | 早い分、手数料は高めになる傾向 |
審査 | 売掛先の信用力が重視される | 自社の経営が良くても安心はできない |
手数料 | 借金の利息とは違う経費扱い | 複数の会社を比較して納得できるか判断! |
信用情報 | 借入ではないので影響なし | 悪質な業者に注意が必要 |
複数の会社から見積もりを取って、自社の状況に合った「納得ライン」を見つけることが大事なんだと思います。
契約書でチェックすべきポイントをメモから紹介
最後に、私がノートに書き留めた「契約書で絶対チェックするべきポイント」を紹介します。
- 償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)は「なし」になってる?
- これ、「あり」だと、もし取引先が倒産したらウチが払わないといけなくなるんです。絶対「なし(ノンリコース)」を確認!
- 債権譲渡登記って必要?
- これをされると、誰でも会社の情報を閲覧できるようになるみたい。必須かどうかは要確認。
- 契約書の控えはもらえる?
- 当たり前だけど、トラブル防止のために必ず保管!
専門用語は難しいけど、自分の会社を守るために、ここは頑張りどころですよね。
今振り返って思うこと:女性経営者としての気づき
「見た目も中身も“信頼される経営者”を目指したい」
作業着の一件以来、TPOに合わせた服装を意識するようになりました。
現場では作業着、でも大事な商談や面談の時はジャケットを羽織る。
そんな当たり前のことが、会社の信頼につながるんだって、身をもって知りました。
見た目だけじゃなく、知識や経験ももっと身につけて、中身も信頼される経営者になりたい。
今回の失敗は、そう思わせてくれる良いきっかけになりました。
失敗を笑って話せることが、成長の証かもしれない
今でこそこうして笑い話にできますが、当時は本当に恥ずかしくて落ち込みました。
でも、失敗したからこそ学べたことがたくさんあります。
一つ一つの失敗が、私を少しだけ経営者として成長させてくれている。
そう思えるようになったこと自体が、一番の収穫かもしれません。
同じように悩む方に伝えたい「恥ずかしがらなくて大丈夫!」
もし、この記事を読んでくれている方の中に、昔の私と同じように「ファクタリングって何?」「今さら聞けない…」と悩んでいる方がいたら、伝えたいです。
知らないことは、決して恥ずかしいことじゃありません。
知ろうとしないことが恥ずかしいんだ、と私は思います。
どんどん質問して、メモを取って、時には失敗して。
そうやって、一緒に学んでいきましょう!
まとめ
私の初めてのファクタリング体験、いかがでしたか?
最後に、今回の経験から得た学びをまとめてみます。
- ファクタリングは借金じゃない!請求書を前払いしてもらう便利なサービス。
- 申込みは計画的に!書類準備は意外と時間がかかる。
- 面談は会社の顔!TPOに合わせた服装を心がけよう。
- 契約書は宝物!難しい言葉も、自分のためにしっかり確認。
- 失敗は成長のもと!恥ずかしがらずに、何でも挑戦してみよう。
まだまだ修行中の二代目経営者ですが、今回の経験は本当に大きな一歩になりました。
現場で汗を流すのも、慣れないスーツで契約書とにらめっこするのも、全部大切な私の仕事。
娘のため、従業員のため、そして会社を継がせてくれた父のためにも、これからも頑張ります!
女性経営者の皆さん、建設業界の皆さん、一緒に学んで、一緒に成長していきましょう!
この体験が、少しでも皆さんのお役に立てたら嬉しいです。