女性経営者の資金繰り

建設業界の女性社長が語る資金繰りの現実と対策

こんにちは!
千葉県船橋市で、父から継いだ建設会社を経営しています、佐藤美咲です。

従業員12名の小さな会社ですが、現場で汗を流す職人さんたちと、それを支えてくれる家族と一緒に、毎日奮闘しています。

建設業界で働く皆さん、特に経営者の皆さん、資金繰りって本当に頭が痛い問題ですよね。
正直なところ、私も数年前までは「今月も支払いを乗り切れるかな…」なんて、ヒヤヒヤすることがしょっちゅうでした。

そんな時、銀行の担当者さんからポロッと聞いた「ファクタリング」という言葉。
「ふぁくたりんぐ…?何それ、カタカナ苦手なんですよね…」
これが、私の資金繰りとの新たな戦いの始まりでした。

この記事は、そんな私が体当たりでファクタリングを学び、実践してきた等身大の体験記です。
同じように資金繰りに悩む建設業界の方、特に女性経営者の方の参考になれば、こんなに嬉しいことはありません。

建設業界の資金繰りの現実

現場で鍛えられた私でも、会社の数字と向き合うのはまた別のプレッシャーがあります。
特に建設業界は、他の業界とはちょっと違う、独特の資金繰りの難しさがあるんですよね。

入金までのタイムラグとその影響

一番の悩みは、やっぱりこれです。
工事が終わって請求書を出しても、実際にお金が振り込まれるのは2ヶ月、3ヶ月先なんてことがザラにあります。

でも、職人さんへのお給料や材料の支払いは待ってくれません。
手元の現金はどんどん出ていくのに、入ってくるのはずっと先…。
このタイムラグが、本当に経営者の心をすり減らすんですよね。

材料費・人件費の即時支払いのプレッシャー

「佐藤社長、来週までにあの材料、現金で払わないと入らないらしいですよ!」
現場からこんな電話がかかってくると、血の気が引きます。

建設業界は、まだまだ現金商売が根強い世界。
職人さんへの日払いや、急な材料の仕入れなど、即金が必要な場面がたくさんあります。
帳簿上は黒字でも、手元に現金がないと会社は回りません。
いわゆる「黒字倒産」が、すぐ隣にある怖さを常に感じています。

季節変動による収入の波

うちのような住宅リフォームがメインの会社だと、季節も大きく影響します。
例えば、梅雨の時期は外壁工事がストップしがちですし、逆に年末や年度末は駆け込みで工事が集中したり。

この収入の波が、資金繰りの計画をさらに難しくするんです。

  • 繁忙期:仕事は多いけど、その分、先行して出ていく材料費や外注費も増える。
  • 閑散期:仕事が減って、入金も少なくなる。

この波をどう乗りこなすかが、経営者の腕の見せ所だったりします。

公共工事に潜む“待ち時間”の落とし穴

「公共工事は安定しているから安心」なんて思われがちですが、ここにも落とし穴が。
確かに仕事としてはありがたいんですが、入金までの“待ち時間”がとにかく長いんです。

手続きが多くて、支払いが半年後なんてことも…。
その間、会社はずっと立て替えを続けている状態。
体力のない中小企業にとっては、これがかなりの負担になるんですよね。

女性経営者としての視点と苦労

私がこの業界に入った時、まだまだ女性は珍しい存在でした。
父から会社を引き継ぐ時も、正直、風当たりが強いと感じることもありましたね。

「女性だから」と見られることの悔しさ

初めて現場監督として立った日、年配の職人さんに「お嬢ちゃん、危ないから事務所にいな」って言われたこと、今でも忘れられません。
悪気がないのは分かるんです。
でも、すごく悔しかった。

「女性だからって甘く見られたくない」
その一心で、誰よりも早く現場に行って、誰よりも遅くまで図面と向き合いました。

信頼構築と日々の努力

取引先の社長さんたちとの会合でも、最初は「佐藤さんとこの娘さんか」という目で見られていたと思います。
父が築いてきた信頼に、私自身の信頼を上乗せしていく。
それは、一つ一つの仕事を丁寧に行い、約束を必ず守る、その積み重ねしかありませんでした。

今では「美咲社長!」と頼りに呼んでもらえることも増えて、本当にありがたい限りです。

家族との両立:娘と母と夫と、そして会社

仕事から帰れば、私も8歳の娘を持つ母親です。
娘の「お母さん、お帰り!」という声を聞くと、一日の疲れも吹き飛びます。

経理を手伝ってくれている母、いつも応援してくれる夫。
家族の支えがなければ、今の私はありません。
娘の参観日や運動会は、何があっても駆けつける。
それが、私なりの家族への誠意であり、仕事へのエネルギー源なんです。

「娘に胸を張れる経営を」の原動力

時々、娘が「お母さんのお仕事、カッコいいね」って言ってくれるんです。
その言葉を聞くたびに、胸が熱くなります。

どんなに資金繰りが大変でも、どんなに悔しい思いをしても、この子のために頑張らないと。
娘に胸を張れるような、誠実で立派な会社であり続けたい。
それが、私の何よりの原動力ですね。

ファクタリングとの出会いと葛藤

そんな風にがむしゃらに走っていた2023年の夏。
ある大きなリフォーム案件で、材料費の支払いがドカンと重なったんです。
いよいよ資金がショートする…!
そう思った時でした。

銀行担当者のひとことが転機に

メインバンクの担当者さんに相談したところ、「佐藤社長、最近はファクタリングという資金調達方法もありますよ」と教えられました。
正直、その時の私は「???」でしたね。

ファクタリング?
カタカナ苦手なんですよね…。
それって、借金とは違うんですか?

本当に、こんなレベルからのスタートでした。

「債権譲渡?借金のこと?」という誤解

家に帰ってネットで調べてみるんですが、出てくるのは難しい言葉ばかり。
特に「債権譲渡」という言葉が分からなくて。
「債権を譲渡する…?え、うちの会社の借金を誰かに譲るってこと?」なんて、とんでもない勘違いをしていました(笑)。

今なら分かりますが、これは「未来にもらえる工事代金(売掛債権)を買い取ってもらう」ってことなんですよね。
借金じゃない、資産の売却なんだと理解するまで、少し時間がかかりました。

面談時の服装ミスに学んだ“見た目の大切さ”

いざ、ファクタリング会社さんと面談することになったんですが、ここでまた失敗を。
いつもの癖で、現場から直行して作業着で行ってしまったんです。
そしたら、担当者の方に「あの…次回からはもう少しフォーマルな服装でお願いできますと…」と、やんわり言われてしまって。

顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
現場では作業着が正装ですが、お金の話をする場では、相手に信頼感を与える服装が大切なんだと、身をもって勉強になりました。

男性目線の情報ばかり…女性経営者ならではの戸惑い

一番困ったのは、ネットで調べても、建設業界の先輩に聞いても、なんだか情報がしっくりこなかったことです。
体験談を書いてくれているのは男性の経営者さんがほとんど。

もちろん参考になるんですが、「奥さんには内緒で…」とか「飲み代の捻出が…」みたいな話が出てくると、ちょっと違うんだよな、と感じてしまって。
私のような女性経営者が、家族や従業員のために、真剣に悩んでいる時のリアルな情報が見つからなかったんです。

「これは、私が自分で経験して、発信するしかない!」
そう思ったのが、このブログを始めたきっかけでもあります。

ファクタリングを学んで分かったこと

そこからはもう、勉強の日々です。
現場用の小さなノートに、分からない言葉や仕組みをびっしり書き込んでいきました。
今日はそのノートの中から、特に大事なポイントをお話ししますね。

仕組みの基本:「つまり、こういうことなんです」

ファクタリングの仕組み、最初は複雑に感じますよね。
でも、ノートに書いた私の言葉で説明すると、こうなります。

1. 未来の入金予定を「前売り」する
お客さんから3ヶ月後にもらえる予定の工事代金(請求書)がありますよね。

2. ファクタリング会社が「前払い」で買ってくれる
その請求書をファクタリング会社に見せると、「じゃあ、うちが先に買い取りますよ」とお金を払ってくれるんです。

3. 手数料が引かれる
もちろん、タダではありません。
買い取ってもらう時に、手数料が引かれます。これがファクタリング会社の利益になります。

つまり、「入金待ちの請求書を、手数料を払ってすぐに現金化してもらうサービス」ということなんです。
借金とは違って、あくまで自分の会社の資産(売掛債権)を売ることなので、決算書上も負債にならないのが大きなポイントですね。

手数料の考え方と注意点

この手数料が、一番気になるところだと思います。
私も電卓を叩きながら「あれ?合わない…」なんて、何度も計算し直しました(笑)。

手数料は、ファクタリングの種類によって大きく変わります。

種類特徴手数料の目安
2者間ファクタリング私とファクタリング会社の2社だけで契約。取引先に知られずにスピーディーに進められる。高め(8%~18%くらい)
3者間ファクタリング私、ファクタリング会社、取引先の3社で契約。取引先の承諾が必要で時間はかかるが、信頼性が高い。安め(2%~9%くらい)

急いでいる時は2者間、時間に余裕があって手数料を抑えたい時は3者間、という使い分けが基本になります。
ただ、相場より高すぎる手数料を提示してくる会社には注意が必要です。

信頼できる会社の見分け方

ファクタリング会社って、本当にたくさんあるんですよね。
中には残念ながら、良くない業者もいると聞きます。
私が会社を選ぶ時に、特にチェックしたポイントはこれです。

  • 契約内容を急かさず、丁寧に説明してくれるか
  • 手数料の内訳が明確か(見積書以外の費用を請求されないか)
  • 建設業界の実績が豊富か
  • 会社の住所や連絡先がはっきりしているか
  • 担当者の対応が誠実か

最後はやっぱり「人」ですよね。
こちらの不安な気持ちに寄り添ってくれる担当者さんと出会えるかどうかが、すごく大事だと思います。

実際にやってみて分かったメリットとデメリット

実際にファクタリングを利用してみて、正直なところ、メリットもデメリットも両方感じました。

【メリット】

  • 精神的な安心感:何よりこれです。「支払日にお金が足りる」という安心感は、何物にも代えがたいです。
  • 資金調達のスピード:銀行融資と比べて、圧倒的に早い。急な支払いに対応できるのは本当に助かります。
  • チャンスを逃さない:良い材料を安く仕入れられるチャンスがあっても、手元にお金がないと諦めるしかありません。ファクタリングのおかげで、そうした機会を逃さずに済みました。

【デメリット】

  • 手数料のコスト:当然ですが、手数料の分だけ、最終的に手元に残る利益は減ります。
  • 癖になりやすい:あまりに手軽なので、つい頼りたくなってしまう。あくまで緊急時の手段と割り切ることが大切です。

これを理解した上で、計画的に利用することが重要なんだなと実感しています。

「まだまだ修行中」だからこそ伝えたいこと

ここまで偉そうに語ってきましたが、私もまだまだ修行中の身です。
毎日が勉強で、新しい発見の連続です。

メモ魔のノートから生まれた気づき

私のこの小さなノートには、現場で職人さんから教わったこと、経営の本で学んだこと、そしてファクタリングで失敗したことまで、全部書いてあります。
これを時々見返すのが、私の習慣です。

文字にすることで、頭の中が整理されて、「ああ、次はこうしよう」という次の一手が見えてくるんですよね。

他の女性経営者に伝えたいポイント

もし、昔の私と同じように資金繰りで悩んでいる女性経営者の方がいたら、伝えたいことがあります。
それは、「一人で抱え込まないで」ということです。

私たち女性は、つい「しっかりしなきゃ」って、全部自分で背負い込みがちです。
でも、分からないことは「分からない」と言っていいんです。
銀行でも、税理士さんでも、信頼できる人に相談する勇気が、未来を拓く第一歩になると思います。

失敗談も包み隠さず、共有する意味

服装の失敗や、言葉の勘違い。
正直、恥ずかしい話です。
でも、私がこうして失敗談をお話しするのは、皆さんに同じ失敗をしてほしくないから。

そして、「社長だって、最初から完璧じゃないんだ」って知ってもらうことで、少しでも皆さんの心が軽くなればいいな、と思っています。
成功体験より、失敗から学ぶことの方がずっと多いですからね。

「勉強になりました!」を繰り返す日々

今日もきっと、現場で、事務所で、新しい壁にぶつかると思います。
でも、そのたびに「また一つ、勉強になりました!」って、笑い飛ばしてやるつもりです。

知らないことは恥じゃない、知ろうとしないことが恥。
父から教わったこの言葉を胸に、これからも学び続けていきたいです。

まとめ

長くなりましたが、私が現場で学び、体当たりで経験してきた資金繰りのリアルと対策についてお話しさせていただきました。

  • 建設業界は、入金サイトの長さや季節変動など、特有の資金繰りの難しさがある。
  • ファクタリングは、借金ではなく資産の売却。緊急時の有効な一手になり得る。
  • 会社選びや手数料など、利用するには正しい知識と計画性が不可欠。
  • 女性経営者だからこその悩みや苦労もあるけど、それを強さに変えていきたい。
  • 失敗を恐れず、学び続ける姿勢が何より大切。

正直なところ、今でも資金繰りの悩みから完全に解放されたわけではありません。
でも、ファクタリングという選択肢を知ったことで、以前よりずっと心に余裕ができました。

この記事が、同じような境遇で頑張っている方の、何かのヒントになれば本当に嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!