ファクタリングって何?建設業の女性社長が一から学んだ基本講座
こんにちは。
千葉で小さな建設会社を経営している、佐藤美咲です。
「ファクタリング」って言葉、聞いたことありますか?
正直に言うと、私は最初、このカタカナの専門用語にちょっとビビっていました。
なんだか難しそうだし、ちょっと怖いイメージすらありました。
でも、資金繰りに本気で悩んだあの夏。
藁にもすがる思いでファクタリングについて学び、実際に使ってみたんです。
そしたら、今まで頭を抱えていた資金繰りの悩みが、スッと軽くなりました。
この記事は、建設業の現場で奮闘する現役の女性社長である私が、ファクタリングの「はじめの一歩」を、専門用語をなるべく使わずに、私の体験談を交えながらお伝えするものです。
同じように資金繰りで悩む、特に女性の経営者仲間にとって「この記事に出会えてよかった」と思ってもらえるように、心を込めて書きますね。
ファクタリングとの出会い
「資金ショート寸前!」だった現場のリアル
あれは、忘れもしない夏の繁忙期でした。
ありがたいことに大きなリフォーム工事が重なり、現場は活気に満ちていました。
でも、私の心は晴れませんでした。
なぜなら、材料の仕入れ代や職人さんたちへの支払いが、お客様からの入金よりもずっと先にやってくるから。
手元の現金がどんどん減っていき、月末の支払いを計算しては、冷や汗をかく毎日でした。
「このままじゃ、来月の支払いができないかもしれない…」
まさに、資金ショート寸前。
社長として、こんなに情けなくて怖いことはありませんでした。
銀行担当者のひと言がきっかけで
メインバンクの担当者さんに相談したんです。
でも、融資の審査には時間がかかるし、そもそもこれ以上借金を増やすことにも抵抗がありました。
そんな私の姿を見て、担当者さんがポツリと言ったんです。
「佐藤さん、ファクタリングという方法もありますよ」
その一言が、私とファクタリングの出会いでした。
正直、最初はカタカナにビビりました
ファクタリング?
何それ?
横文字の名前だけで、なんだか得体の知れないものに感じてしまいました。
インターネットで調べても、難しい言葉ばかりで頭に入ってきません。
でも、もう後がなかったんです。
「とにかく話だけでも聞いてみよう!」と、震える手でファクタ-リング会社に電話をかけたのを、今でも覚えています。
ファクタリングって何?基礎のキソ
そもそも債権って何のこと?
ファクタリングを理解する上で、まず「債権(さいけん)」という言葉を知る必要があります。
大丈夫、難しくありませんよ。
例えば、私たちがお客様の家のリフォーム工事を終えたとします。
その時、「工事代金として300万円を、来月末に支払ってもらう権利」が生まれますよね。
この「お金を支払ってもらう権利」のことを債権と言います。
建設業で言えば、完成した工事の請求書(売掛金)が、まさに債権そのものです。
ファクタリング=借金とは違うの?
ここが一番大事なポイントです。
結論から言うと、ファクタリングは借金(融資)とは全く違います。
- 借金(融-資):銀行などからお金を「借りる」こと。負債が増え、返済義務がある。
- ファクタリング:持っている債権(請求書)をファクタリング会社に「売る」こと。資産の売却なので、返済義務はない。
自分の会社の大切な資産である「請求書」を、期日より早く買い取ってもらうサービス。
それがファクタリングなんです。
だから、バランスシート上も負債が増えませんし、信用情報に影響がないのも大きな特徴です。
2社間と3社間ってどう違う?
ファクタリングには、主に2つの契約方法があります。
私も最初は混乱したので、表にまとめてみました。
項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
---|---|---|
契約する人 | ①自分の会社 ②ファクタリング会社 | ①自分の会社 ②ファクタリング会社 ③取引先(お客様) |
取引先に知られる? | 知られない | 知られる(承諾が必要) |
手数料 | 高め(8%~18%程度) | 安め(2%~9%程度) |
入金スピード | 早い(最短即日も) | 少し時間がかかる |
おすすめな人 | 取引先に知られずに資金調達したい人 | 手数料を少しでも安く抑えたい人 |
私たち建設業の場合、元請けさんとの関係性を考えて「2社間」を選ぶことが多いかもしれませんね。
手数料の仕組みと注意点
「手数料って、どうやって決まるの?」
これも気になりますよね。
手数料は、主に以下の要素で決まります。
- 契約の種類:2社間か3社間か(3社間の方が安い)
- 取引先の信用力:支払いをしてくれるお客様の会社の信頼度(上場企業などだと安くなる傾向)
- 売掛金の金額:金額が大きい方が手数料率は下がりやすい
- 支払い期日までの期間:期日が近い方が安い
複数の会社から見積もりを取って、しっかり比較することが大切ですよ。
よくある誤解と私の勘違いエピソード
私も最初は「ファクタリングを使うと、経営が危ないって思われるんじゃないか…」と心配していました。
でも、それは大きな誤解でした。
欧米ではごく一般的な資金調達の方法ですし、計画的に利用すれば、むしろ経営を安定させるための賢いツールなんです。
「知らない」というだけで、チャンスを逃すのはもったいない。
そう痛感しました。
建設業とファクタリングの相性
建設業特有の資金繰り事情
私たち建設業は、他の業界にはない特殊な資金繰りの事情を抱えています。
- 工事の着工:まず材料を仕入れたり、職人さんを手配したり、お金が出ていくことから始まります。
- 工事の実施:工事期間中も、人件費や経費はかかり続けます。
- 工事の完了・請求:工事が無事に終わって、やっとお客様に請求書を出せます。
- 入金:そして、実際にお金が振り込まれるのは、請求してから1ヶ月~数ヶ月後…。
この「お金が出ていくタイミング」と「入ってくるタイミング」の大きなズレが、私たちの資金繰りを常に圧迫するんです。
公共工事の「待ち時間」と現金払いの板挟み
特に公共工事などは、発注元が国や自治体なので安心感はありますが、入金サイクルが非常に長いことが多いです。
その間にも、下請けの業者さんや職人さんへの支払いは待ってくれません。
彼らの生活を守るためにも、支払いを遅らせるわけにはいかないんです。
この板挟み状態は、本当に胃がキリキリします…。
材料費・人件費・外注費…現場の支払いのリアル
「来週までに、この材料費を現金で払わないと!」
「職人さんたちへの給料日、今月も乗り切れるだろうか…」
現場を動かすためには、とにかく現金が必要です。
ファクタリングは、この「待ち時間」を埋めてくれる、まさに救世主のような存在でした。
実際に使ってみて感じたメリット・デメリット
私が実際にファクタリングを使ってみて感じたのは、何より「精神的な安心感」です。
支払いの心配から解放されるだけで、こんなにも経営に集中できるんだと驚きました。
もちろん、手数料というコストがかかるデメリットはあります。
でも、資金ショートして会社の信用を失うリスクを考えれば、必要な経営コストだと私は割り切っています。
初心者女性社長のファクタリング体験記
初回面談の服装失敗から学んだこと
初めてファクタリング会社の担当者さんと会う日。
私はいつも通り、作業着にタオルを首に巻いたスタイルで事務所に向かってしまいました。
「あ…佐藤社長、いつもそのスタイルなんですか?」
担当者さんの苦笑いを見て、ハッとしました。
現場の感覚が抜けきっていなかったんです。
金融サービスの相談に行くのに、これではダメですよね。
女性だから、というわけではありませんが、ビジネスの場にふさわしいTPOは大切。
当たり前のことですが、現場仕事が長いと、つい忘れがちになるんです。
本当に恥ずかしい失敗談です。
契約書と格闘!「債権譲渡」ってこういう意味
契約書は、難しい言葉のオンパレードでした。
特に「債権譲渡契約」という言葉に、なんだか自分の会社の大事なものを取られてしまうような気がして、すごく不安になりました。
でも、担当者さんが一つひとつ丁寧に説明してくれて、ようやく理解できたんです。
「債権を譲渡する」というのは、「請求書を買い取ってもらう」という行為を、法律の言葉で言っているだけなんだ、と。
分からないことは、恥ずかしがらずに聞く。
これが本当に大事です。
手数料計算で電卓3回たたいた話
提示された手数料を見て、私は何度も電卓を叩き直しました。
「え、こんなにかかるの?」と。
でも、その金額が銀行の金利とどう違うのか、もし資金がショートした場合の損害と比べてどうなのか。
冷静に計算してみると、決して法外な金額ではないことが分かりました。
感情的にならず、数字で判断する。
経営者としての基本を、改めて教えられた気がします。
使って分かった「ここは気をつけて!」
私の経験から、ファクタリングを利用する際に気をつけてほしい点をリストアップしますね。
- 契約書は隅々まで読むこと!(当たり前ですが本当に大事!)
- 手数料以外の費用がないか確認する(登記費用など)
- 複数の会社を比較検討する
- 担当者の人柄や対応の丁寧さも見る
特に、親身に相談に乗ってくれる担当者さんの存在は、心強かったですよ。
よくある疑問を女性目線で解説
信用情報にキズがつくって本当?
❓「ファクタリングを使うと、銀行の融資が受けられなくなるって本当?」
💡いいえ、そんなことはありません。
先ほどもお話しした通り、ファクタリングは借金ではないので、信用情報機関に記録が残ることはありません。
私もファクタリング利用後に、問題なく銀行から融資を受けられましたよ。
税理士さんや銀行には報告すべき?
❓「顧問の税理士さんや銀行の担当者さんには、話した方がいい?」
💡はい、私は話すべきだと思います。
特に税理士さんには、会計処理の方法を相談する必要があります。
信頼できるパートナーには正直に話して、一緒に会社の未来を考えてもらうのが一番です。
男性中心の業界でも安心して使える?
❓「建設業界って男性ばかりだけど、女性社長でもちゃんと対応してくれる?」
💡もちろんです!
むしろ、女性ならではの丁寧さや誠実さが、プラスに働くことだってあります。
大切なのは、堂々としていること。
私たちは、会社の未来を背負う立派な経営者なんですから。
女性経営者だからこそ感じた「壁」と「工夫」
正直に言うと、最初は「女性だからって、足元を見られるんじゃないか」という不安がありました。
だからこそ、私は以下の点を工夫しました。
- 会社の状況や資金計画を、数字でしっかり説明できるように準備した。
- 分からないことは知ったかぶりせず、その場で質問してクリアにした。
- 毅然とした態度で、でも感謝の気持ちは忘れないように接した。
「社長」という立場に、性別は関係ありません。
私たちの熱意と誠意は、必ず相手に伝わります。
まとめ
ファクタリングは、決して怖いものでも、怪しいものでもありませんでした。
私にとっては、資金繰りのピンチを救ってくれた、そして経営者としての視野を広げてくれた、大切な学びの機会になりました。
最後に、この記事の要点をまとめますね。
- ファクタリングは借金ではなく、請求書(債権)を売ること。
- 建設業特有の「入金待ち」の悩みを解決してくれる強い味方。
- 2社間と3社間の違いを理解し、自社に合った方法を選ぶことが大事。
- 契約内容はしっかり確認し、分からないことは専門家に相談しよう。
- 社長として堂々と、でも誠実に。性別は関係ない!
この記事が、かつての私と同じように、資金繰りで一人悩んでいる女性経営者さんの心に届き、少しでも前に進むきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
私も「娘に胸を張れる経営」を目指して、まだまだ勉強を続けます!
一緒に頑張りましょうね。